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茨城県農業会議


 平成30年度一般社団法人茨城県農業会議 事業計画

Ⅰ 基 本 方 針

 本県農業は、温暖な気候と豊かな地域資源等に恵まれた環境のもと、生産者をはじめ県、関係機関・団体のたゆまぬ努力により、全国第2位の農業県として発展を続け、県内はもとより首都圏に安全で高品質な農畜産物を安定供給する大変重要な役割を果たしている。  

 しかしながら、農業を取り巻く情勢は担い手の減少や高齢化に伴い、耕作放棄地の増大など生産構造基盤の脆弱化が進むとともに、人口減少に伴う国内市場の縮小や国際化の進展による国内外の産地間競争の激化など、数多くの問題に直面している。

 こうした中、政府においては、平成28年11月、「農業競争力強化プログラム」を取りまとめ、一層の農業の成長産業化、競争力強化に向けた農業改革を進めている。 また、本県においては、「茨城農業改革大綱」に即した施策を着実に推進することにより、6次産業化や輸出などに取り組む革新的な産地づくりや強い経営体づくりなどを進め、いばらき農業のさらなる発展を遂げることとしいる。

 このような状況の中、農業委員会組織は、地域農業の発展に向けて農地と担い手対策に取り組んできたところであり、今年9月までに全ての農業委員会が改正農業委員会法による新体制に移行することから、農地の集積・集約化や遊休農地の解消、担い手の確保・育成を柱とする「農地利用の最適化」を関係者が一丸となって進めていくこととする。

 茨城県農業会議は、農業委員会相互の連絡調整、農業委員・農地利用最適化推進委員等の研修、担い手の確保・育成、法人化の支援等、農地利用の最適化の一層の推進を図るための活動を展開してきたところである。

 このような情勢を踏まえ、今後、県、市町村、農業委員会や関係団体など会員組織とのさらなる連携のもと、農業・農村現場に根ざした取り組みにより、系統組織として期待される機能と役割を果たしていくこととする。

 平成30年度の事業実施にあたっては、「農地の有効活用と担い手の育成」を図り、農地利用の最適化を推進するため、
   1.農地利用の最適化に向けた組織活動の強化
   2.現場の課題に即した政策提案など農政活動の推進
   3.優良農地の確保・有効利用の取り組みの強化
   4.法人化の支援など経営感覚に優れた経営体の育成
   5.新規就農・人材確保対策の推進
   6.農業者等に対する情報発信の強化
   の6項目を重点に掲げ、関係機関と一体となって、業務を確実かつ効果的に実施していくこととする。

Ⅱ 事 業 計 画


1.農地利用の最適化に向けた組織活動の強化

(1)新制度への理解促進と円滑な移行への支援
   改正農業委員会法の施行を踏まえ、新制度に対する現場での理解が進むよう努めるとともに、農業会議に設置した相談
 窓口の機能を強化しながら、今年度新体制に移行する8農業委員会の実態把握及び情報共有化を図り、その円滑な移行を
 支援する。
  また、農業委員会における「農地利用の最適化」を着実に進めるため、「農地利用最適化指針」の策定を支援するとともに、
 担い手への農地の集積・集約化、遊休農地対策、新規参入の促進が円滑に進むよう助言・支援を行う。

(2)農業委員・農地利用最適化推進委員に対する支援
  新たに選任された農業委員や農地利用最適化推進委員(以下、「推進委員」という)に対して、農地利用最適化の取り組みを
 進めるために必要な関係法令、農地制度や各種施策さらには具体的な活動方法に関する研修会を早期に開催し、業務の確実
 な推進を支援する。
  なお、農地利用最適化の取り組みを推進するため、新たに創設された「農地利用最適化交付金」を積極的に活用するよう支援
 する。

(3)農業委員会組織活動の強化
   農業委員会組織活動を着実に推進するため、農業委員会会長・事務局長会議を開催し、事業推進やさらなる連携強化など
 の合意形成を図るとともに、農業委員会職員を対象とした農地制度の仕組みや農地利用最適化を推進するノウハウ等に関す
 る研修会を開催するなど、組織活動の強化に向けた取り組みを進める。

(4)活動計画・目標達成に向けた組織活動の強化
 ①活動計画・目標作成、実行、評価、改善の取り組み
   農地利用の最適化の推進にあたって、農業委員及び推進委員は、具体的な活動計画等を作成し、その確実な達成に努め
  るとともに、その結果を点検・評価した上で、さらなる改善に繋げる一連の活動を進める。

 ②農業委員会の活動実績や成果の公表に向けた支援
   農業委員会が行う農地パトロールや利用意向・実態調査など、日々の農業委員・推進委員の活動を記録簿にもれなく記録
  することにより、目に見える形で実績・成果を積み上げるとともに、農業委員会活動の実績成果について、組織内外へ的確に
  公表できるようその取り組みを支援する。
   特に、「農地利用最適化指針」における目標の達成状況や、農業委員及び推進委員が行う現場活動の状況を「農地利用の
  最適化に向けた農業委員会活動報告書」により定期的に把握することにより確実な推進を図る。

(5)機構集積支援事業を活用した農業委員会の活動強化
  農業委員会の農地台帳の電子化・地図化、遊休農地などの所有者への意向確認等を実施するために措置された「機構集積
 支援事業」の積極的な活用を推進し、利用状況調査・利用意向調査や農地台帳整備などが確実に実施されるよう農業委員会
 の活動を支援する。
  特に、農地利用の最適化を進めるためには、先ず、全農地を対象に農地利用の実態と今後の利用意向を把握することが必
 要であり、農業委員と推進委員が関係機関と連携しながら計画的に実態調査を行い、その情報を共有する。

(6)女性の農業委員への登用促進
  農業委員の選出方法が、推薦や公募になったことに伴い、多くの女性農業者が推薦されるよう女性農業者等の組織に呼び
 かけるなど、女性が農業委員に登用されるよう働きかけを行う。
  今回の改正農業委員会法により女性農業委員は、24市町村で43人が選任され、全体で67人(32市町村)。女性の推進委員
 は、3市町で4人が新たに選任。これまで、未選任の6農業委員会で新たに10人が選任。

2.現場の課題に即した政策提案など農政活動の推進

(1)農業者・地域の声を積み上げ農政に反映させる活動の推進
  地域の農業者等との意見交換等を実施することにより、農地利用最適化の推進と併せ、農業経営の確立・体質強化に直結
 する課題について、現場からの声を積み上げ、関係機関・団体と連携を図り、国・県に対して意見提出を行う。

(2)農業・農村に持続的発展に向けた農政活動の推進
  農林漁業関係団体で組織する「茨城県農林水産業関係団体連絡会」とも連携して農政活動を展開し、自由貿易体制下におけ
 る万全な国内対策を求めるなど、農業の持続的な発展を図るため必要な施策の要請活動を展開する。

(3)調査活動の推進
  担い手への農地集積、農業経営の効率化など地域農業の振興の基礎資料とするため、農地取引価格の動向や農作業料
 金・農業労賃等の実態等を調査するとともに、農政の動きに対応するため、必要に応じて調査ならびに情報収集・提供
 を実施する。

3.優良農地の確保・有効利用の取り組みの強化

(1)農地中間管理事業の積極的な活用
   農地中間管理機構(以下、「機構」という)は、借り受け時に受け手に繋がっていない農地についても、借受基準に適合して
 いる貸付希望農地は、積極的に借り受けることから、実態調査の結果を基に、農地中間管理事業に誘導するとともに、借り受
 け後は関係機関と一体となって受け手を探し、マッチングを進めて行く。

(2)農地中間管理機構との連携推進
  農業委員会が行う農地利用集積・集約化の取り組みを確実に推進するため、平成30年度から機構の予算を活用し、農業
 会議に「農地集積推進員」(1名)を設置することにより機構との連携を強化する。

(3)農地利用の実態把握の推進
   全農地を対象に、農地利用の実態や今後の利用意向等を農地所有者から聞き取り把握することにより農地利用の最適化
  を図ることが重要であることから、農地利用の実態把握が効率的に実施できるよう支援を行う。。
(4)農地台帳等の整備と公表事務の適切な実施
   農地法に基づく農業委員会における農地台帳等の整備と、農地利用最適化のための農地利用実態調査及び利用意向調査
 の結果反映や、他の法定台帳等との照合、さらには農地台帳補足調査の実施等による台帳の精度向上に向けた取り組みを支
 援する。

(5)農地情報公開システムの完全移行・本格稼働の推進
   農地情報公開システムフェーズ2への本格稼働を踏まえ、農地集積・集約化を進めるため同システムの活用を促進する。
  また、農地情報公開システムが最新の情報となるよう、各農業委員会の農地情報の入力状況の確認・進捗管理を行うとと
  もに、情報入力が円滑に進むよう支援する。
    さらに、同システムの運用にあたっては、個人情報等の管理を徹底するともに、農業委員会等のニーズに応じたシステム
  の整備・改善に取り組み、必要に応じて整理した農地情報を関係行政機関及び機構に対して提供するものとする。

(6)農地法改正に伴う農地事務の円滑・適正な執行
 ①農地の転用許可事務等の適正な執行
  30アールを超える農地転用案件については、県への申請前にあらかじめ都道府県農業委員会ネットワーク機構の意
 見を聴かなければならないことから、常設審議委員会において審議を行う。
  また、農業委員会の総会等における法令審議が公平・公正かつ適正に行われるとともに、議事録の縦覧・公表、会
 議の公開による透明性の確保が徹底されるよう支援する。

 ②法人等の農業参入への適正な対応への助言・協力
   農地所有適格法人による農地の取得や適正な耕作の実施、さらには、農業委員会に対する農地所有適格法人から
  の事業状況(農地法第6条)等の報告が適切に行われるよう指導・助言する。また、農地所有適格法人以外の法人等
  が新たに農業参入する場合、地域において秩序ある農地の利用が図られるよう、農業委員会等に対して助言・協力を
  行う。

(7)耕作放棄地の発生防止・解消対策の推進
 ①遊休農地所有者等に対する利用意向調査及び利用調整の推進
  遊休農地対策の推進にあたっては、農業委員会が行う農地利用状況調査(農地パトロール)及び利用意向調査や農地
 中間管理機構への通知等を確実に行い、農地利用の最適化に向けた取り組みを支援するとともに、貸付けを希望する農
 地所有者に対しては、あっせんや利用関係の調整が積極的に行われるよう支援する。
  特に、耕作放棄地を未然に防止するとともに、地域全体で農地を活用していく観点から、農地中間管理機構と連携して、
 耕作放棄地と周辺農地を一体的、かつ面的に整備・活用を図ることにより担い手に農地を集積する取り組みを進める。

 ②荒廃農地等利用促進交付金を活用した解消対策の推進
   農業者や農業者組織等が、荒廃農地等を引き受けて作物生産を再開するために行う再生作業、土壌改良、営農定着、
  施設等の整備を総合的に支援する「荒廃農地等利用促進交付金」について、関係機関と連携を図り制度の普及・活用推
  進を図る。

(8)担い手への農地の面的利用集積の促進
  「人・農地プラン」に基づき担い手への農地利用集積を推進するため、農業委員会が行う農地利用調整活動を通じ、
 農地中間管理事業が最優先に活用されるよう取り組むとともに、推進委員が機構とも密接に連携しながら、地域にお
 ける利用調整の現場活動を積極的に推進できるよう支援を行う。

4.法人化の支援など経営感覚に優れた経営体の育成

(1)担い手の経営確立に向けた支援
  認定農業者等担い手の経営改善および経営能力向上を支援するため、認定農業者に対する複式農業簿記記帳や青色申
 告等に関する研修会を開催し、経営能力向上に向けた支援を行う。
  また、農業経営の収入減少を補填する「収入保険制度」を周知するとともに、加入するための要件として必要な青色申告へ
 の移行について、担い手組織等を通じて周知を図る。

(2)農業者年金の普及・加入促進の取り組み強化
  農業者年金制度の普及については、農業者の老後生活の安定と円滑な経営継承を図るのみならず、国の政策支援(保険料
 の国庫補助)や節税効果が得られるなど、本県農業の担い手を育成する重要施策と位置づけ、その普及啓蒙・加入促進に組
 織の力を結集して取り組む。
  当面の目標として本県の基幹的農業従事者数の約1割となる2,000人の確保に向けて、これまでの取り組みを点検・検証した
 うえで、農業委員会がJA営農渉外部門や県普及組織と連携して、生産組織などを対象として、加入資格者全員に対して働き
 かけを行うなど、加入推進活動を展開する。

(3)農業経営の法人化、経営改善の推進
  茨城農業の担い手に対して、法人化や経営規模拡大、第三者継承、人材の確保・育成等を支援するとともに、企業参入の
 推進を図ることで本県農業のさらなる発展に資することを目的として設立される「茨城県農業参入等支援協議会」について、
 県(農業経営課)と共同事務局を担い、本協議会の行う経営発展セミナーの開催や専門分野のアドバイザーの派遣等、担い
 手に対する経営発展に向けた活動を支援する。
  また、的確な法人設立を進めるため、引き続き、法人化の相談窓口を設置して相談をきめ細かく実施することにより、農業
 経営の確実な法人化と経営力向上を支援する。

(4)組織の活動支援
  農業会議は、長年にわたり各組織等の支援・協力を行ってきたところであり、今後とも、県段階の組織である「茨城県認定
 農業者協議会」、「茨城県農業法人協会」、「茨城県稲作経営者会議」、「いばらき女性農業委員の会」の活動を支援する。

   ◆茨城県農業会議が事務局を担当する組織(平成30年3月現在)
    ・茨城県稲作経営者会議(昭和52年3月31日  26人)
    ・茨城県農業法人協会(平成10年7月7日  77社)
    ・茨城県認定農業者協議会(平成13年10月22日  37組織)
    ・いばらき女性農業委員の会(平成17年11月16日 5 7人)
 

5.新規就農・人材確保対策の推進

(1)日常的な就農相談の実施と就農相談会等の開催
  新規就農希望者に対して、日常的な相談活動を行ない、農地等の情報や農業法人等の求人情報の提供を行うとと
 もに、関係機関との共催による就農相談会「新農業人フェア」に併せ、農業法人との合同会社説明会を開催するなど
 情報提供活動を行う。

(2)農の雇用事業を活用した雇用就農の推進
  農業法人等が就業希望者を新たに雇用した場合に、生産技術や経営ノウハウ等を習得させる研修経費の一部を
 助成する「農の雇用事業」を積極的に活用し、新規就農者に対する農業法人等への雇用就農を推進する。
  農業法人等の人材育成と経営確立に向けてより一層成果が上がるよう経営者組織と連携した推進を図るとともに、
 これらの雇用就農者が茨城農業の優れた担い手として定着し、さらに独立就農する際には、中核的な経営体に発展
 できるよう必要な支援を図ることとする。

6.農業者等に対する情報の発信活動の強化

(1)全国農業新聞の普及推進
  農業者への情報提供が農業委員会の重要な業務であることから、全ての農業委員及び推進委員が全国農業新聞を
 購読し、全国農業新聞を活用して農業者への情報提供を的確かつ確実に行うよう推進する。
  また、農地利用の最適化を通じて地域農業のさらなる発展に向けて、より多くの農業者へ最新・有益な情報を提供する
 ため、農業委員・推進委員1人あたり新たに2部の増部を目指してさらなる普及推進を図る。
  平成29年における購読部数は、3,034部(前年対比22部増)となった。

(2)全国農業図書の普及推進
  農業関係の専門図書として活用されている全国農業図書については、利用促進に向けて各種会議でのPRや、市町村
 部局に向けても活用されるよう普及拡大を図る。

(3)農業委員会だよりの発行など情報発信の推進
  改正農業委員会法において「情報の公表」が新たに規定されたことを踏まえ、従来にも増して「農業委員会だより」
 を発行するなど、地域の農業者・住民に対する身近な情報提供の取り組みを支援する。

(4)農業会議のホームページを活用した農業関係情報の発信
  農業会議のホームページを活用して、茨城県農業会議の取り組んでいる各種事業や新規就農対策、耕作放棄地解消対
 策等について積極的な情報発信を行う。